歯科衛生士は副業禁止?収入を上げるには
歯科衛生士が副業を禁止されているかと問われれば、職場によって変わると無難な回答をするしかありません。
歯科衛生士は、まさに手に職の代表例。
国家資格な上に、有効求人倍率も高く、どこへ行っても就職に困ることはないでしょう。
しかし、経済状況から言えば歯科業界全体が厳しく、よく比較される看護士の方が平均年収が高いのが現状。
収入を上げるために、副業を考える歯科衛生士がいるのも無理ありません。
正規雇用者は一般的に副業が禁止されていますが、この原則は歯科衛生士にも当てはまるのでしょうか。
正規雇用の歯科衛生士は副業禁止?
副業に関しては、会社ごとに就業規則によって定められています。
就業規則とは、働く側が無理なく働けるように交わす、雇う側との約束。
立場が弱くなりがちな労働者を保護するため、従業員が10人以上の事業所では設置が義務づけられています。
ほとんどの会社が10人以上の規模なので、就業規則がしっかり定められており、正規雇用者=副業禁止の認識が広まっているのです。
ワークライフバランスが重要視され、さまざまな働き方の形が認められてはいるものの、未だに正規雇用者は8時間労働の9時間拘束が一般的。
通勤時間や、睡眠、食事等生きるために必要なこまごまな時間を含めれば、あっという間に24時間で1日終了です。
副業のための時間を作れば、生活に無理がかかり本業のパフォーマンスに危機が出てきます。
年金や社会保険など、さまざまな手当てを出して労働者の人生にセーフティーネットを敷いている企業からすれば、堪ったものではないので、本業に専念にしてもらうために副業を禁止している会社が多いのです。
歯科衛生士の就業規則
歯科衛生士に関しても、副業については就業規則によって定められていますが、歯科衛生士の多くが就職する歯科医院は、院長であるドクターが経営する個人診療所。
従業員が10人に満たない小規模経営もめずらしくなく、働いていても就業規則に触れる機会がほとんどありません。
実際、歯科衛生士の6割が自分の職場の就業規則について、あるかどうかわからないと答えたアンケート結果が出ています。
チェーン経営などの何人ものドクターを抱える大規模な医院なら、就業規則もしっかりしていますし、こまめな改定ごとに冊子を作ってスタッフに配布することもあるでしょう。
しかし、そんな事例はごく稀。
ドクターに直接確認しなければ、就業規則の確認が難しい場合も珍しくありませんが、だからと言って「職場の就業規則ってどうなっていますか?」なんて聞き辛いですよね。
就業規則は、言わば雇用者が労働者を不等に扱わないことを約束したもの。
いきなり就業規則について訊ねられれば、ドクターもびっくりして、要らぬ憶測を招いてしまいます。
歯科衛生士が副業禁止か確認するには
上で説明した通り、就業規則の有無から確認するのは得策ではありません。
「副業は可能でしょうか」と、ダイレクトに訊ねましょう。
と言うのも、副業せずに十分な給料を貰えていたのは、バブルの頃まで。当時は特に役職が上がらなくても、毎年基本給が20,000円以上上がるのが普通でした。
優秀な従業員を囲い込んでも不満が出ないほど、十分なお金を事業所は渡していたのです。
しかし、現在は状況が変わり、基本給が上がらないのに、税金や教育費など必要な経費は上がり、本業だけではやっていけない労働者も珍しくありません。
ですから、労働者の「どうしてもやっていけない」の訴えを一般企業も無碍にはできないのです。
就業規則に副業禁止と記載があっても、交渉することで意外と認められる場合が多くあります。
歯科衛生士の場合も、国家資格の割に給料が高くないこともあって、副業を切り出しても、柔軟に対応してくれるドクターが多いでしょう。
あまり副業禁止を間に受ける必要はありません。
歯科衛生士の副業は簡単じゃない?
歯科衛生士でも副業はできると説明しましたが、就業規則の他にも時間の問題が発生します。
歯科医院の営業時間は、9時から18時。
午前と午後の診療時間の間に休憩がありますが、午後診の患者の準備や、急な電話にも対応しなければなりませんから、完全に自由なわけではありません。
正規雇用者か、パートか、アルバイトか、働き方によっても異なってきますが、歯科衛生士の拘束時間は長く、実際問題では副業のための時間の確保が平日は難しいのです。
対してゴールデンウイーク、年末年始、お盆など、いわゆる世間の多くが休む期間は、休診日とする歯科医院が多いです。
歯科衛生士も当然お休みとなるので、長期休暇を利用して、副業に期間限定のアルバイトを入れれば、収入アップが見込めます。
世間全体が休む期間限定の求人は、時給が高めの傾向があるので、効率良く収入を上げられるでしょう。
そもそも歯科衛生士の仕事がある日は、診療時間が終わってからが副業の時間になります。
通勤時間もありますし、2、3時間のアルバイトが限界。
深夜手当てを合わせても、4、5万円の収入アップに留まります。
もちろん、それだって少なくはありませんが、歯科衛生士業務だって楽ではありません。
1日の衛生士業務を終えてくたくたになった後の自由時間と、を削ってまで得ることを考えると、十分とは言えません。
本来休むはずの時間でさらに働くわけですから、疲労が蓄積され体調を崩すリスクもあります。
一方、年末年始などのまとまった休診日は、もともと仕事がない日。
短期バイトに参加すれば体力的な負担も少なく、本業に支障を来す心配なく収入アップが見込めます。
旅行や、貯金などであとほんの少しお金が欲しい場合には、コンスタントに稼げる副業に拘らず、短い期間で集中して稼げる短期バイトがオススメです。
歯科衛生士の収入を上げるには
お盆や年末年始の時期に関わらず、コンスタントに収入を上げたいなら、転職を考えた方がいいでしょう。
歯科衛生士は、1日中動き回る肉体労働。正規雇用者の場合、就業時間近くには足、肩、腰はパンパンでくたくたになります。
その後に更に他の職場で働くのは、肉体的にも精神的にも負担が大きく、長くは続かないでしょう。
それなら、歯科衛生士として収入アップを狙った方が確実です。
勤続年数が長く、院長との関係も良好なら今の職場で給料の交渉をするのも良いですが、上がったとしても微々たるもの。
給料は働くためのモチベーションとも関わってきますから、収入アップを希望するなら、今よりも条件が良い職場へ歯科衛生士としての転職を考えてはいかがでしょうか。
歯科衛生士は有効求人倍率が高く、他の職業に比べれば引く手数多。
衛生士業務と言っても内容は多岐にわたりますから、兼ねてから興味があった分野にチャレンジすることもできます。
もちろん、高い収入を提示するわけですから、向こうもより高いレベルの働きを要求されるでしょうが、結果、歯科衛生士としてのキャリアアップも期待できます。
より良い条件を求めて、思い切って憧れの新天地を選んでもいいでしょう。
歯科衛生士のお給料の地域差については、こちらをご覧ください。
収入のためだけに自分の時間を削って副業を考えるくらいなら、思い切って転職を選択肢に考えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
いかがでしたか?
歯への健康が注目されて、定期的に歯科医院に通う人が増えたにも関わらず、以前歯科業界は厳しいまま。
歯科衛生士のお給料もなかなか上がりません。
失敗が許されないプレッシャーがかかる仕事なのに、副業を考えなければならないほど厳しい状況です。
しかし、体力と精神力が必要な仕事だからこそ、無理は禁物。
副業などで、適切に休めなければ本業に無理が出てきます。
睡眠やリラックスのための時間を削って副業するよりは、職場を変えて本業で収入を増やせることを目指しましょう。
人気な職場は人が辞めにくく、希望通りの求人がなかなか出ないかもしれません。
しかし気長に待ちながら、こまめに求人をチェックしていればチャンスは掴めるはずです。
以上、「歯科衛生士は副業禁止?収入を上げるには」でした。