歯科衛生士の給料は上がる?
歯科衛生士として活躍しているなら、「給料上がるといいな」と願った経験は1度や2度ではないはず。
歯科衛生士は有効求人倍率にも関わらず、給料が低く副業を考える人も珍しくありません。
ダイレクトにお金の話題なので、不満があっても口に出しにくく、院長と交渉するのは躊躇われます。
しかし、お給料は働くモチベーションにも繋がりますから、上がるに越したことはありませんよね。
歯科衛生士がお給料アップを狙うには、どうしたらいいのでしょうか。
歯科衛生士の給料事情
歯科衛生士の平均給料は25万円。
他の医療分野の国家資格と比べても、かなり低い部類に入ります。
正規雇用であれば、これにボーナスがつくので年収にすればもう少し状況が変わってきますが、不満を抱く歯科衛生士が少なくないのも頷けます。
地域によっては、手取りにすると平均20万円を下ることも少なくなく、ここまで来ると不満どころか将来の不安が頭をもたげます。
せっかく頑張って勉強して国家資格を取ったのに、厳しい給料事情では職業そのものを変えることを考える人もいるでしょう。
そもそもなぜ歯科衛生士のお給料事情は厳しいのでしょうか。
勤続年数が短い
同じ国家資格で、業務内容もドクターのサポートと共通点が多い看護士の平均月収は30万円。
あまり変わらないと思うかもしれませんが、これに100万円前後のボーナスが加わってきますから、年ベースで考えると、お給料事情は大きく異なります。
歯科衛生士のお給料が他の医療分野と比べて低い要因の1つは、まず勤続年数が短くなりがちということ。
と言うのも、歯科衛生士の平均的な勤続年数は、正規雇用に限って言えばたったの6年。
学校を卒業して働けるようになるのが、20~22歳が一般的ですから、30前には皆退職してしまうということです。
歯科衛生士で活躍する人のほとんどが女性ですから、30目前になると出産や結婚で退職する人が増える時期。
歯科衛生士の勤続年数が他の職業も比べて極端に少ないのは仕方ないとも考えられますが、他の職種の視点から見れば30前なんて社会人としてはまだまだで、やっと仕事がわかって来る頃です。
役職が就くことが稀な年齢なこともあり、一般企業で働いている同年代もそれほど多くありません。
勤続年数によって与えられるベースアップもまだ少ないですから、どうしても平均給料が少なくなるのです。
しかし、逆の視点から考えれば勤続年数が少なくても25万円貰える職業とも言えます。
社会人デビューした所からある程度貰えるのは、やはり国家資格ゆえの魅力でもあるでしょう。
職場の規模が小さい
歯科衛生士の就職先は、およそ6割が歯科診療所。
院長が経営者とドクターを兼任して、保険診療を中心に地域に根ざした医療活動が営まれています。
ドクター個人で経営しているので、スタッフ総数10人以下のアットホームな診療所も少なくありません。
自然と相性が良いスタッフだけが残りやすく、人間関係のトラブルが少ないのが魅力ですが、働く上で別の問題が発生します。
と言うのも、従業員が10人未満の事業所は就業規則を作成する義務がありません。
就業規則とは、働き方や休み方など、雇用者と労働者との間に交わされる約束。
有給の扱いや退職についてもここで定められているのが一般的ですが、そもそも就業規則がない事業所は経営方針も立場が強い雇用者の胸先三寸になりがち。
例え院長が給料を上げたいと思っていても、無い袖は振れません。
小規模であればその分体力がないこともあり、結果、経費となる給料も、小さな診療所の方が上がりにくいのです。
歯科衛生士の給料が上がる条件
コンビニよりも歯科医院が多い昨今、どこもあの手この手で患者獲得を狙っています。
ドクターであれば必ずゆとりある生活が遅れる時代はとうに終わり、経営に頭を抱える院長も多いです。
真っ先に目が行く人件費を削りたくなる心中も想像できますが、給料を貰うスタッフの立場からすれば、たまったものではありません。
歯のスペシャリストとして、満足いく給料を貰うためにどうしたら良いのでしょうか。
技能を上げる
資格はただ持っているだけではいけない、とはよく耳にします。
歯科衛生士は、医師と同じく人の口腔に直接触れられる国家資格ですが、それが歯のスペシャリストとしての優秀さを示すものではありません。
国家資格はあくまでも歯科衛生士であることを示すだけなのです。
医療は日進月歩の世界で、新たな技術や治療法が開発され、細かい患者のニーズに応えるべく、歯科の世界でも専門性が求められています。
歯科診療所も、虫歯や歯周病など保険治療を主に扱うイメージ通りの診療所以外にも、審美やインプラント、矯正、小児歯科など高い専門性を謳う所が増えています。
認定制度を利用し、その診療所が必要としている専門性を備えていれば、高い給料が提示されるでしょう。
認定に対して補助金を受け取れたり、条件の良い職場への採用の可能性を高められるだけでなく、保育士やケアマネージャーなど、歯科衛生士と相性の良い資格を取得すれば、資格手当が付き条件の良い職場への就職が狙えます。
労働時間を伸ばす
これは分かりやすいですね。
給料を上げるには、最も手軽な方法とも言えるでしょう。
歯科衛生士と同じ医師のサポートを業務内容とする看護士は、給料が良い職業として知られていますが、その理由の1つが長時間労働です。
看護士は、入院患者を抱える病院が職場なのも珍しくなく、緊急事態に備えてある程度の人数が常駐していなければならず、労働時間が伸びがち。
基本給に加えて、残業や夜勤の手当てが付くので、給料がたくさん貰えるのです。
歯科に関しても最近は、仕事の後に通えるよう、夜遅くまで患者を受け付けている診療所も珍しくありません。
そういう診療時間が長い職場であれば、残業代が付き給料アップが狙えます。
また、当たり前ですが平日よりは土日の方が働く人が少ないので、時給が良い傾向があります。
長時間労働は気が進まないけれど、働く曜日に拘りがない人なら、土日勤務も狙い目です。
とにかく手っ取り早く給料を増やしたい人は、まず働き方を変えてみてはいかがでしょうか。
勤続年数を伸ばす
上でも説明した通り、勤続年数が少ないことも、歯科衛生士が国家資格にも関わらず平均月収が少ないことに関係しています。
女性が多く結婚や出産で若くして退職してしまう上に、転職が少なくないこともあり、ベースアップの機会が失われているのです。
国家資格と比べるのは不適切かもしれませんが、一般企業の社員でも、勤続年数5年そこらでは月収が25円程度でも珍しくありません。
その証拠に、歯科衛生士の平均年収を世代ごとに見れば、25歳が260万なのに対し、35歳では348万、45歳には423万まで上がります。
歯科衛生士は、決して給料が低い職業ではないのです。
もちろん、バブルではありませんから、ベースアップで2万も3万も上がることはありませんが、ちりも積もれば山となる、勤続年数を地道に伸ばしキャリアを積むことで、着実に給料は上がるのです。
しかし、ここで注意したいのは歯科衛生士としての年数は重要ではないということ。
同じ職場で長く働いてこそ、給料に反映されるのです。
歯科診療所は少ないスタッフで切り盛りしていることが多いので、コミュニケーションも濃密になりがち。
相性がよければ天国ですが、合わないと感じたなら、無理せずに素早く次に行く方が将来的に給料が上がるかもしれません。
まとめ
いかがでしたか?
給料は職場の経営方針にも関わる問題。
何もせず、「上がるといいな~」と願っているだけでは変わりません。
歯科衛生士は、歯の健康を守るやりがいがある反面、失敗が許されないプレッシャーのかかる仕事です。
その分肉体と精神ともに負担が大きいわけですから、給料に不満があればモチベーションも維持できません。
お給料を上げるためのポイントを参考にしつつ、納得のいく働き方を目指すことが、結果的にキャリアアップにも繋がるでしょう。
以上、「歯科衛生士の給料は上がる?」でした。