歯科衛生士の歯科医院以外の道とは
歯科衛生士も、歯科医院以外にもたくさんの活躍の場があるのをご存知ですか?
確かに求人情報を見ても、歯科衛生士を募集しているのは、ほとんどが歯科医院。
実際に、歯科医院は多くの割合の歯科衛生士が働いています。
しかし、それはメジャーである、というだけで100%な訳ではありません。
歯科医院しか就職先しかないと思い込んでいると、自分の可能性を狭める原因にもなります。
ここでは、実際に歯科衛生士が活躍している職場についてまとめてみました。
歯科衛生士が活躍する歯科医院以外の職場
歯科医院は、社会で現場で活躍している90%もの歯科衛生士を受け入れています。
歯科医院で働いていない歯科衛生士を探すのが大変な状況ですから、他の選択肢がピンと来ないのも仕方ありません。
しかし、現状、歯科医院はドクターが個人で経営している小さな診療所がほとんど。
従業員も10人未満であることも少なくなく、会社で例えれば、零細企業と同じ事業規模です。
福利厚生も心許なく、「ここで定年まで働けるの?」と若くして不安を抱えることも多いでしょう。
歯科衛生士の平均年齢が低めなのは、この辺の事情があるのかもしれません。
では、残り10%はどこで働いているのでしょうか。
公務員歯科衛生士
歯科衛生士も、公務員として働く道があるのをご存知ですか?
何があるか分からないご時世ですから、安定し福利厚生もバッチリな公務員は誰にとっても魅力的です。
行政で働く歯科衛生士の職場は、主に保健所や保険センター。
乳幼児の定期検診やフッ素塗布、歯磨き指導を行います。小学校や児童館、介護施設に赴いて保健指導をすることもあります。
赤ちゃんから大人まで、歯の大切さを伝え看護士や栄養士など異分野のスタッフたちとチームを組んで、総合的に地域の健康管理を行うことが目的です。
ただ、保健所や保険センターは予防がメイン。
専門の器具もないので、治療はできません。
もしも検診で何らかのトラブルを発見した場合は、病院への受診を促すことになります。
介護施設で入居者のケア
歯は食事を楽しむためだけでなく、糖尿病や認知症とも深い関わりがある部位だと知られ、QOLのために一層メンテナンスが重要視される昨今。
年をとればとるほど歯は脆くなり、トラブルのリスクは増します。
丁寧に歯磨きしていても、疾患にかかりやすく、歯科医師や歯科衛生士が常駐する介護施設も見かけるようになりました。
介護予防サービスでも口周りのメンテナンスが含まれています。
口腔環境が悪くなれば、嚥下機能にも影響が出て、肺炎のリスクも高まります。
高齢者の場合、健康を維持するためにも、歯科衛生士の指導は重要です。
まだまだ介護施設で勤務する歯科衛生士は少ないですが、高齢化社会のためこれからどんどん活躍の場が広がるでしょう。
大きな病院での勤務
歯の疾患と言えば、近くの歯科診療所へ行く人がほとんどでしょうが、大きな病院でも口腔外科の患者は受け入れています。
例えば、持病の関係で血が止まりにくい薬を飲んでいる患者の治療は、リスクが高いため診療所は嫌がります。
口腔外科では、このようにリスクが高い患者の歯科治療や、口腔の疾患が専門。
咽頭ガンや、顎関節症でもお世話になります。
口腔外科は、歯科の一部なので歯科医と歯科衛生士が治療に当たるのです。
入院ベッドがあるような大きな病院は、設備だけでなく他の科とも連携して総合的に患者を治療できるのが強み。
疾患以外でも、事故で口腔を怪我すれば他の科と協力しながら治療にあたることになります。
当然、扱う機材も多く、患者たちは他の診療所から紹介状をもらって来ているわけですから、歯科衛生士はよりハイレベルなスキルが必要となります。
求められるレベルが高くなるので、歯科衛生士としてキャリアを積み、成長したい人にぴったりです。
キャリアアップして歯科衛生士以外の道へ
歯科衛生士の経験を生かして、更なるキャリアアップを目指す道もあります。
ケアマネージャー
歯科衛生士が5年以上の実務経験を積み重ねると、介護のプロであるケアマネージャーの受験資格が得られます。
ケアマネージャーとは、症状や生活環境などの要介護者をとりまく状況を総合的に判断して、最適なケアやサービスプランを作成、実行のために施設との間に立って調整する仕事。
介護のプロと言っても、介護職員のように、介護者の生活を直接サポートするわけではありません。
歯科衛生士はどちらかと言うと、医療分野ですから介護の分野にキャリアアップを目指せるのを意外と知らない人が多いですが、介護職員以外にも看護士や、保健師から転向する人も多くいます。
歯科衛生士からケアマネージャーへの転向の場合、歯科から介護の世界へ飛び込むわけですから、それまでのやり方は全く通用しません。
介護のいろはから勉強がスタートするので、ケアマネージャーの試験の合格率は歯科衛生士に限って見ると15%と、新たな世界にチャレンジする難しさを表しています。
しかし、これから超高齢化社会となり、ケアマネージャーの活躍の場は増えていきます。
歯科衛生士と同様に、職場の選択肢が豊富なうえ、将来的に独立だって可能な職業。
介護を必要とする人に最適なサポートを提供することで、要介護だけでなく、周囲の人の負担も軽減でき、多くの人に感謝されます。
やりがいは言うまでもなく、福利厚生や報酬など、待遇面でも魅力がありますから、思いきって医療の世界から飛び出してみてもいいでしょう。
専門学校の講師
専門学校などの養成機関で講師として、後身の育成に力を注ぐのも選択肢の1つ。
歯科医院と比較すると、「学校という福利厚生がしっかりした職場で、勤務歴が長い先輩スタッフや、院長の顔色を伺わなくていい」なんて、ついつい学校勤務の良い所ばかり目が行きがち。
確かに学校にはたくさんの職員が働いており、福利厚生はしっかりしているでしょう。
産休育休どころか、子供が小さいうちの時短勤務だって認められる所がほとんどです。
しかし、だからこそ辞める人が少なく、学校の講師は欠員待ち。
よしんば欠員が出ても、1人か2人と極小なので、いかに情報を早くキャッチできるかが大切になります。
在学中に母校の先生方と親しくなり、「将来学校の講師になりたい」と伝えておくなど、常に独自にアンテナを張り巡らせておく必要があります。
求人があっても採用されなければ意味ありませんから、留学や、認定制度を利用して独自のキャリアを積み重ねておくのも大切です。
在学中の成績を上位でキープしておくのも、先生の信頼を得るために有効でしょう。
歯科衛生士として素晴らしい成長を遂げてこそ、学校の講師と言う狭き門をくぐり抜けることができるのです。
まとめ
いかがでしたか?
歯科医院で歯科医のサポートばかりに目が行きがちな歯科衛生士ですが、実は活躍の場はいくつも提示されています。
しかし、実際問題として90%と歯科衛生士が歯科医院で働いているということは、他の選択をするにはそれだけ大変であることも意味しています。
求人を発見するのも一苦労でしょう。
人気な職場探しにはタイミングが命なのは、どの業界でも変わりません。
せっかく有効求人倍率が高い歯科衛生士ですから、無理に期間を決めて職場探しをする必要はありません。
歯科衛生士専門の就職サイトに登録して、他の歯科医院などで働きながら、ゆっくりと自分にぴったりな職場を見つけてもいいのです。
自分に合った働き方の参考になれば幸いです。
以上、「歯科衛生士の歯科医院以外の道とは」でした。