歯科衛生士の便利帖

歯科衛生士についてのちょっとしたアレコレをまとめています。

歯科衛生士は若いうちだけしか働けない?

f:id:minori1004kun:20171025172719p:plain歯科衛生士は若いうちだけしか仕事がなく、年齢がリスクになる、という噂を耳にします。

確かに歯科医院に足を運ぶと、院長の歯科医以外若い女性スタッフばかり、というのはよくある光景。

 

よもや、「30後半になったら辞める」と言った暗黙の了解や、「年をとると院長の態度が冷たくなる」といった圧力が存在し、退職せざるを得ない状況に追い込まれているのでは?

 

歯科衛生士の求人を見ても年齢に関する記述はほぼないので、憶測が悪い方にばかり広がります。

 

しかし、歯科衛生士は国家資格です。

年齢がリスクになるようなことはありません。

それなのに、歯科衛生士が若いうちだけの仕事と思われるのには、歯科の世界ならではの環境があるからです。

 

歯科衛生士が若いうちだけと思われる理由

歯科衛生士が若いうちだけしか働けないと思われる理由は、ずばり若いうちに退職する人が多いからです。

あるアンケートでは、現場で活躍している歯科衛生士の平均年齢は33歳。

定年が60から65歳と考えると、やはり歯科衛生士の年齢層は偏っていると言えます。

 

ここだけ読むと、「なーんだ、やっぱり年をとると働けないのか」と思われるかもしれません。

……が、もちろんそんなことはありません。

職場からの無言の圧力がかかったり、院長から意地悪されたりすることがなくても、若くして自分から退職を選ぶのです。

 

産休や育休、時短勤務のような環境が整っていない

第一線で活躍する歯科衛生士のうちおよそ9割が歯科医院で勤めています。

皆さん、歯科医院と言えばどんな場所をイメージしますか?

多くが、虫歯や歯周病を中心に治療を行う、小さな町の診療所をイメージするでしょう。

 

歯科診療所にもチェーン展開する大規模な職場も存在しますが、そんなのは極一部。

10人いるかいないかのぎりぎりの診療所も少なくなく、産休や育休が一般的ではありません。

どの診療所も経営が厳しくそこまで手が回らないという経済的な厳しさも一因となっているでしょう。

 

歯科衛生士は、ほんの少し前まで女性しかなれない職業でした。

言うまでもなく女性は出産、結婚、育児のタイミングでライフスタイルを変化させなければなりません。

ライフスタイルの変化に柔軟に対応できない職場環境では、退職せざるを得ない状況があるのです。

出世できない

業務内容がドクターのサポート、受験資格に3年以上の訓練が必要で同じく国家資格。

歯科衛生士と共通点が多くよく比較される看護師は、キャリアを積めば主任看護師、看護師長と出世の道が開かれます。

 

それに対して、歯科衛生士は認定資格取得しようが、スタッフをまとめて職場環境を良好に保とうが、あくまでも一介の歯科衛生士のまま。

資格や、勤続年数に応じて少し給料が上がることはあっても、立場や地位は変わりません。

 

仕事は、生活のためではあるものの、自己実現や、目標、やりがいも重要な要素です。

ある程度まで勤めると目指すべき目標を見失って、若くして退職を決意する歯科衛生士がいるのも仕方ないかもしれません。

歯科衛生士の給料は上がる?

患者が少ない時間に働いている

最近は、結婚しても共働きのご家庭が増えてきました。

ですから、歯科衛生士も子供が成長したタイミングで復帰する人が増えてきていますが、独身の頃のように午前診療時間から、診療時間が終了するまでみっちり働いているわけにもいきません。

 

いくら子供たちが大きくなったとは言え、夜には自宅へ帰って夕食をつくったり、洗濯したり、明日に備えて家の中を整えなければなりません。

 

土日も、家族に合わせて休みにしているのが一般的です。

したがって、結婚した歯科衛生士は平日の午前から夕方になる前までのパートで働いている人が多いのです。

 

ところで、皆さんは歯科医にかかるときには、何時頃に予約するでしょうか?

多くが学校や仕事が終わったアフター5か、休みの土日でしょう。

 

ですから、歯科医院が最も忙しくなり、多くの患者が訪れるのは、夕方以降と土日。

大きな子供がいる年齢の歯科衛生士は、そもそも患者の目に触れる機会が少ないのです。

結婚や育児のタイミングで働き方が変わる女性ならではの事情で、若い歯科衛生士ばかりが目立っているだけと言えるでしょう。

歯科衛生士の長い目で見た働き方

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歯科衛生士の就職先が、院長個人が経営する町の診療所が大多数な現状から考えると、よほど福利厚生がしっかりしたところでなければ、育休や産休を取得して、すぐに社会復帰は難しくなっています。

結婚や出産のタイミングで、家族に合わせた働き方を望む場合、歯科衛生士は退職しなければならないのが実情です。

 

しかし、退職した後再就職が難しいのか、と言えばそういうわけではありません。

歯科衛生士は国家資格ですし、まだまだ人手不足。

定年間近ならまだしも、年齢がリスクとなる職業ではありません。

正規雇用で働き続けたい

正規雇用にこだわりたいのは、誰だって同じです。

歯科衛生士なら国家資格ですから、出産や結婚のタイミングで1度退職したとしても、中途採用で性雇用の求人を見つけることはそれほど難しくないでしょう。

しかし、たとえ採用されたとしても家事や育児と両立できるかどうかを考えなければなりません。

 

というのも、歯科衛生士は拘束時間が長い仕事だからです。

診療時間より早く到着して開院の準備、午前診療後の休み時間は、電話番をしながら昼食、午後診療が終わった後には翌日のカルテの準備があります。

 

全てが終わって帰宅する頃には、20時過ぎるなんてザラ。

家事育児への分担意識が高く、パートナーからの理解が得られればできるかもしれません。

しかし「子供の成長をしっかり見守りたい」、「家族にできるだけ手作りの温かい食事を出したい」と主婦としての立場を役割を大切にするなら、フルタイムは難しいです。

 

診療所での正規雇用は諦めざるを得ないでしょう。

パートで働き方を選ぶ

主婦や母親の役割を大切にして、1度退職したもののパートとして働く女性は多いです。

パートであれば、職場と交渉しながら働く時間を調整できます。

家庭と仕事の両立は正規雇用よりもずっとスムーズ。

 

パートと言えども、歯科衛生士業務には、資格が必要ですから誰でもこなせるわけではありません。

したがって、パートだとしても平均で1300円/時間と、他のサービス業より時給が高い傾向があります。

将来的に、短い時間でも安定して収入を得られるのも、歯科衛生士の強みです。

ブランクが不安

歯科衛生士は患者の歯を守るスペシャリスト。

歯科医師と同じように直接患者に触れることもあって、やりがいがある反面、強いプレッシャーがのしかかります。

一時的にでも現場を離れると、ブランクを抱えながら復帰して果たしてやっていけるのか、不安を抱えるのも頷けます。

 

しかし、そもそも医療技術は日々進歩を遂げており国家試験に合格した後も、勉強が欠かせません。

最新の医療事情を取り入れるため、歯科衛生士の教育に熱心な診療所もありますし、職場や院長によって考え方ややり方も変わるので、どれだけキャリアを積んでいても慣れるまでは動きがぎこちなくなるもの。

 

大切なのは、積極的に周りに聞いたり、セミナーを受けたりして、ブランクを埋めるよう努める姿勢です。

今では、長いブランクから職場復帰を果たす歯科衛生士に向けて、地域でセミナーも開催されています。

ブランクをネガティブに捉えて消極的でいるよりも、積極的な学習意欲を示せば相手側も安心します。

 

就職活動も上手くいく確率が高まるでしょう。

長いブランクの後の職場復帰

まとめ

いかがでしたか?

 

歯科衛生士に年齢制限はありません。

目指せる役職はありませんが、勤続年数が長くなればそれに伴って給与も上がっていきます。

決して、若いうちだけの仕事ではないのです。

 

育休や子供が小さい間の時短勤務がないのだって、それだけ人材の流動性が高いから、とも言えます。

子供に手がかかる間は家庭に専念し、無理がないタイミングで職場復帰も可能。

 

定年まで勤め上げる歯科衛生士もいるので、安心して歯科衛生士を目指してください。

以上、「歯科衛生士は若いうちだけしか働けない?」でした。

歯科衛生士は長く働ける仕事?